お料理

街道を往く人々           2012/04/23

 もはや春風はなく、見上げればじりじりとした陽の光が夏の訪れを
示しているようです。
 お客様を迎える前に見たニュースでは、列島各地で夏日の気温にま
で上昇したことを報じていました。
 急に暑くなったわけですから、身体が付いていかないのは当然のこ
とで、ビタミン・ミネラル分を多く含む食物や食物繊維の根菜類を、
率先して食卓に取り入れる時期に差し掛かりました。
 
 とは言っても、やはり目でも舌でも味わい深いものでなければ仕事
をこなしたようには感じられません。決して自己満足に浸る訳ではな
く、低エネルギーで満腹感を得られる献立や一品についても、考えを
巡らしてお客様には満足感を得ていただいてもらいたいと思います。

前菜いろいろ.jpg

 さて、今日のお客様は健脚を活かしてはるばる東京から、旧中山道を歩いてお出でいただきました。
 昨夜は大垣で泊まられて、今日は垂井、柏原、番場と鳥居本までの行程で、ご昼食に立ち寄っていただきました。
 
 川物が好物だとおっしゃるお客様は、子持ち諸子の煮浸し、虹鱒の白酢和え、ビワマスの昆布締めで一献傾けられました。
 「ここで夕食ももらいたかったなあ、、。」
などとこぼされて、街道を西へと向かわれました。            
 
 
                    
 
               その他  海老豆煮
                    厚揚げの蕗味噌田楽

春のお料理 その三          2012/04/02

 春は山菜のほかに、貝類も多くの種類が出回ります。
 今朝は「シロガイ」と呼ばれる貝殻の真っ白な蛤のようなものや、
貝殻の大きさが人差し指と親指で作る輪の大きさほどの帆立貝など
が並んでいました。
 
 もちろん青柳や北寄貝、赤貝など貝殻の色形もその中身も色とり
どりな種類がありました。
 お造りや酢の物での生食はもちろんのこと、どの貝も焼いたり、
さっと湯がいて和え物やお浸しも美味しいものです。
サラダ風酢の物.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 写真は北寄貝と貝柱、車海老にスナップ
えんどう、胡瓜、竹の子を添えた酢の物で
す。
 一番出しで割って味を加減したポン酢に、
オリーブオイルを合わせた酢で調味してあ
ります。
 

春のお料理 その二          2012/03/24

 今日は進学のお祝いの弁当のご注文をちょうだいしました。
 お祝い事なのですが、お席のご主人にあたる息子さんは海
老を苦手にされていらっしゃるようで、煮物は穴子に変更し
て、通常ご用意している海老の塩焼きは省かせていただきま
した。
 
 赤いものがないので、弁当箱の中の色のバランスを整える
のに苦労しました。
 
 よい若布が出ていたので若竹煮に仕上げました。
お弁当・若竹煮.jpg

春のお料理 その一          2012/03/23

 以前にもこのブログで、春は「張る」に通じる言葉で弾む
気持ちを表していると書きました。
 市場では春鱒がたくさん並ぶ頃になりました。またこの鱒
の泳ぐ姿は、正に待ちかねた春を喜ぶような様子なのです。
 
 この春鱒に"ふき味噌"をのせて、春の田楽焼きにしてみま
した。
 蕗の葉はエグミが強く、葉脈が固いため、そのままでは食
べられません。葉の部分のみをちぎって湯がいて、エグミを
僅かに残す程度まで水にさらします。これをすり鉢であたっ
てペースト状にし、味噌や醤油などで味をつけて"ふき味噌"
とします。
春鱒焼き.jpg
  
 
 
 八割方焼いた魚にふき味噌をのせて
火にかざして仕上げます。
 春鱒の淡白な身質に、ほろ苦さがよ
く合うと思います。
 
 懐石料理の約束事を意識したわけで
はないのですが、味噌のふきの葉を入
れて野菜は「根・軸・葉・実」を取り
合わせてあります。
 味の起伏もお料理の大切な要素です。

名残りのかぶら          2012/03/16

 この冬は雪がひどく降り積もったせいもあって、収穫
の時期がずれ込んだりしたために、根菜類の出来があま
り良くなかったように思いました。
 
 彼岸を前に「かぶら」は名残りのそのまた後ろの方へ
やってきたようです。                          
かぶら寿司.jpg                                                                                                                                                                                                                                    
 
 
 
 
 
 写真は「本鱒のかぶら寿司風」です。
 千枚漬けの要領で、たて塩に漬けて柔
らかくしたかぶらで、金時人参、菊菜そ
して酢でしめた本鱒を挟み込んでありま
す。黄身酢で召し上がっていただきます。 

春のお祝い膳           2012/03/11

 寿(ことほぎ)のお膳には、春野菜の竹の子とお祝いには欠かせな
い蛤をご用意しました。
 採れたての竹の子の柔らかい穂先のところを、香りを楽しめるよ
うさっと炊いて煮物椀に添えました。
 肴には身出しした蛤にほのかに紅く、あけぼの色に染めた道明寺
粉をまぶしつけて、揚げ出しにしてあります。金箔を少しのせてお
祝い事らしくなるようにしました。
 お汁は蛤を下湯した際に出る煮汁を出しに加えることで、コクの
あるものに仕上げてあります。
a1S.煮物2.JPG

春野菜ぞくぞく その二        2012/03/10

 先日の新物の竹の子に合わせる青物野菜の準備をしました。
 「春は苦みを盛る」と修業時代には、よく聞かされました。
 苦みと同じく香りも大事な美味しさですので、色良く湯が
いて冷たい水で色止めして、野菜の八方出しに漬けて旨味を
軽く追加してやるようにしています。
春野菜#167.jpg                                                           
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 蕗やわらびはアクが強く、えぐみを取り除くのに、竹灰を
まぶして湯につけたり、砂糖で揉むようにしてえぐみを和ら
げたりと下ごしらえの工夫が必要になります。
 難しいことではありませんが、これらの仕事を怠ると味も
色も台無しで、食欲を促す姿にはなってくれません。

春告げの便り その三        2012/02/28

 今朝市場には「飯蛸」が並べられていました。
 これも春を告げる魚のひとつです。
 飯蛸は「イイ」と呼ばれる飯蛸下処理#264.jpgのサムネール画像頭の中の卵を
残して、雑味の元になる内蔵や、その他の
臓器を取り出します。スミ袋を傷つけない
ように慎重に庖丁を動かします。
 
 頭と足をそれぞれ霜降りし、独特の匂い
やぬめりを取ってから煮炊きします。
 
 私のところではお酒と塩で味を付け、
後で醤油で香りと色を加減する程度にして
います。
 
 
 
 春の「いも・たこ・なんきん」の仕上がりです。
 新物の蕗と菜種を添えました。
いも・たこ・なんきん#459.jpgのサムネール画像

春告げの便り その一         2012/02/20

 春告げの「白魚」は、柳川鍋風に笹がきの牛蒡と一緒に小鍋立て
にしました。
 一番出しを用いて、甘めに整えた出し汁の旨味を一滴も逃さない
ように溶き卵を流し入れ、仕上がりに川芹の小口に切ったものを散
らして青みと春の香りを添えています。
 湯気と一緒にただよう、牛蒡の土の香りにも下萌えの春を感じら
れることと思います。 
 もちろん新しい木の芽も叩いて添えてあります。
白魚鍋#197.jpg

お正月の献立         2012/01/15

 松の内のお料理には、決まって「いもぼう」を準備する
ことになっています。
 先代の頃から献立の一品として、炊き合わせには海老芋
を炊いています。
正月炊き合わせ.jpgのサムネール画像
「きれいに剥くんやで、形を揃えてな、、。」と、
庖丁を動かしながらよく言うてました。 
 
 先代が亡くなって丸七年が経ち、店のかたちや
のれんの重みが、ひしひしと感じられるようにな
りました。
 
 冷たい水で芋を洗い、断面が正六角形になるよ
うに、皮を剥きます。白水(米のとぎ汁)で下湯
がきしてから、お出汁でじっくりと味を含めます。
 年の初めに気持ち新たになれる仕事でもありま
す。
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